2020年 2月

リウマチ因子も炎症所見もない。それなのにリウマチ?

<20歳・女性>
13歳のころから、若年性特発性関節炎で治療。
運動部に所属、全身に痛みが出現したため、近くのリウマチ専門の整形外科を受診。検査すると、リウマチ因子陰性、CRP(-)、MMP-3 38とと全く異常がないにもかかわらず、プレドニン5㎎/日、リウマトレックス2c/週が投与されていた。
しかし、服用しても一向に症状は改善しなかったため、母親が自著を読み、セカンドオピニオンで来院。

レントゲンを撮ってみると、両手指(手首も含む)の関節裂隙はほとんど消失し、骨同士がぶつかっていた。膝も軟骨が減り、歩行困難な状態。指にはテーピング、膝にはサポーターが欠かせない生活を送っていた。
持参した検査データをみると、リウマチ因子も炎症反応も何一つなかったが、鉄欠乏性貧血の所見がみられた。炎症所見もなく、リウマチの治療の必要性はなく、すべての症状は貧血が起因していると考えられた。

リウマチを専門と掲げた整形外科で、リウマチ因子も炎症所見も何もないのに、症状が似ているからということだけでリウマチの治療を行うとは、あってはならないことである。

治療変更でステロイド減量、諸症状すべて消失!

<74歳・女性>
平成20年頃、右膝関節痛が出たため近医を受診。そこで関節リウマチと診断され、薬が処方された。痛みが軽減したため、自己判断で治療を中止した。

平成24年頃、咳が続くため、総合病院呼吸器科を受診。検査にてサルコイドーシスと診断され、肝硬変も合併しているといわれた。サルコイドーシスの治療は、プレドニン(5)6T/日から開始された。漸次影が消失し、サルコイドーシスが治癒したため、プレドニンも減量後中止となった。

その頃より、右膝関節痛がまた出現したため、同病院のリウマチ科を受診。関節リウマチの再燃だと言われ、プレドニン(5)1T/日、ケアラム、リウマトレックスを処方された。しかし、ケアラムとリウマトレックスの副作用が出たため中止となった。ステロイドが処方されていて、副作用予防で抗潰瘍剤、睡眠薬などの薬が処方された。しかし、その後moonfaceとなり、顔の毛細血管が拡張し顔が真っ赤になり、気分も良くなく、眠れない状態が出現。その旨を主治医に訴えるも、薬の見直しをしてくれず、心療内科の受診を勧められた。

約2年間、プレドニンのみの治療をしてきたが、一向に両膝の痛みがとれず、上記の様々な症状も軽減しないため、インターネットで調べて、当院を受診することにした。

持参された検査データを見ると、CRP(6+)、MMP-3 221と上昇しており、リウマチの活動性は高く、貧血も出現していて、とても良くない状態であった。右手首の変形は目立ち、両膝には関節液が貯留していて、歩行困難な状態であった。

前医で肝生検されて、肝硬変と診断がついていたが、当院での血液検査では慢性肝炎に近いデータであった。

今後当院では、治療をアクテムラに変更し、ステロイドの減量を開始した。2~3か月後には、諸症状も全て消失し、ステロイドも中止できると考えている。

具体的な治療内容 生物製剤療法
副作用・リスク ※ 注射部位反応、上気道感染、肺炎、蜂巣炎、胃腸炎

※ 個人差はありますが、事前検査や上手な自己管理で、極力副作用を抑えることができます。

ステロイドは抗リウマチ剤ではない!

高齢なのにプレドニンやメトレートを過剰投与されていた!
<76歳・女性>
近くの整形外科でリウマチと診断され、プレドニン10㎎/日、メトレート4cap/週を投与されていた。

検査データも詳しい説明も一切なく、体調は一向に良くならず、転倒により尾骶骨を骨折された。整形外科にて骨折は治癒されたが、薬は骨折中も骨折後も変更がなかった。

腰の痛みや身体の倦怠を強く伝えるも、何も答えてくれず、「今日はリハビリをして帰りなさい」と指示された。ご家族が心配されて、インターネットで調べ、当院を受診することとなった。

来院時は、両膝に関節液が貯留し、腰痛もあるため歩行困難な状態で、生活に大いに支障がみられた。

危険な薬を服用しているが、検査してみると、CRP(4+)、MMP-3 1653とリウマチの活動性が非常に高く、全く効果が認められなかった。そのため当院では、治療をアクテムラ皮下注(2週に1回)に変更し、効果が出れば、ステロイドは減量~中止する予定である。

このケースも、高齢者に抗リウマチ剤ではないステロイドを、10㎎と非常に大量に投与し、副作用と思われている骨折が起きても変更せず、同じ薬を処方し続けている。まるで、20~30年前のリウマチが治らなかった時代の治療を、今も続けているのは驚きであり、不勉強と言わざるを得ない。

具体的な治療内容 生物製剤療法
副作用・リスク ※ 注射部位反応、上気道感染、肺炎、蜂巣炎、胃腸炎

※ 個人差はありますが、事前検査や上手な自己管理で、極力副作用を抑えることができます。

Hb7.7、血清鉄15、フェリチン5未満。極度の貧血!

貧血の治療ができなくなった医者たち

<17歳・男性>
他県より、17歳の息子を母親が連れてきた。息子さんは、現在運動部に所属しており、ハードな練習をした後などは、特にしんどく感じるような状態なので、診て欲しいということだった。

単なる疲労だろうと思われたが、検査してみると、Hb(ヘモグロビン)7.7、血清鉄15、フェリチン5未満とすべて低値のため、極度の貧血であることが判明した。消化管出血、溶血性出血が考えられたため、近医を受診し、便潜血の確認、治療をしてもらうことを勧めた。

「近医を受診し、便潜血は(-)、鉄剤が処方された」と連絡があり、鉄剤は多めに服用するよう指示した。また、便潜血(-)ということで、脾臓機能亢進による溶血性貧血が考えられたが、総ビリルビン、ハプトグロビンには異常がなかった。

貧血の原因精査のため、近医に消化器内科を紹介されていた。胃カメラを予約していたため施行し、萎縮性胃炎、ピロリ菌陽性と診断されたとの事。「貧血が著明なので、その治療を優先し、ピロリ菌除菌は後日でも構わない」旨をご家族に説明した。しかし、ピロリ菌除菌を優先し、鉄剤の服用を中止された。

後日、Hb10.9、血清鉄35、フェリチン41と上昇しており、貧血は改善傾向にある。

これは、長期にわたる偏食で、元々軽い貧血があったところに、ハードな運動が重なり、貧血が極度化したのではないかと考えられる。

鉄欠乏性貧血が著明であるのなら、優先して貧血の治療を行うべきである。

HB8.5。すぐに貧血の治療が必要!

貧血の治療ができなくなった医者たち

<71歳・女性>
当院でリウマチの治療をしている患者さん。血管炎を伴っているため、ステロイドを服用していた。リウマチは寛解状態で調子は良かったが、最近何度か胸が苦しいことがあるということだった。

検査してみると、ヘモグロビン8.5と貧血が著明であった。また、黒い便が出たことがあったということから、ステロイド服用による消化管からの出血が疑われた。そのため、至急ステロイド服用の中止を指示し、多めの鉄剤を処方した。

「胸の苦しさは貧血によるもの」だと説明したが、ご家族の意向もあり、患者さんは大学病院の呼吸器科受診を希望し、受診された。

大学病院で、「私は貧血です」と言うも、呼吸器科では、レントゲンやCTを撮り、「もともとあった間質性肺炎の活動性はないですね」と言われ、循環器内科に紹介された。循環器内科では、「器質的変化はありません」と言われた。最後は、消化器内科に行ったが、検査はすぐにできないので、一週間後の胃カメラの予約をして帰された。

どの科も、貧血の原因を調べることも治療をすることも、何一つしなかった。その上、異常がないにもかかわらず、再診を指示したという。

後日、消化器内科で胃カメラをすると、「胃潰瘍の痕があった」ということだった。

現在患者さんは、鉄剤を服用したことにより、貧血は改善傾向にある。

貧血は生命にかかわるもの。治療は優先して行うべきであり、見落としてはならないものである。

その他の改善症例につきましては、
院長著書『リウマチが治った』『リウマチが治った②』をお読みください。
多数の方が、どのようにして改善したのかが詳しく書かれています。

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