「朝のこわばり」「関節の痛み・腫れ」「関節の変形」があるからと言って、リウマチとは限りません。
関節の痛みがあっても、
すべて陰性
どちらも上昇しない
という方は、リウマチ以外の下記の病気の可能性があります。
リウマチによく似た他の病気
1.リウマチ性多発筋痛症(50歳以上の中高年に多く発症)
リウマチ性多発筋痛症は、50歳以上の中高年者に発症し、発熱や頚部、肩、腰、大腿など四肢近位部(近位筋)の筋肉痛を起こす原因不明の炎症性疾患です。
肩の痛みが最も頻度が多く(70-95%)、次いで頚部・臀部(50-70%)、大腿(太もも)の疼痛、こわばり感を認めます。
当院独自の診断基準に基づき、診断は、関節リウマチなどの他の膠原病や感染症などを否定しながら総合的に行われます。
2. 成人スチル病(発症平均年齢46.5歳)
成人スチル病は、小児におこるスチル病(全身型若年性特発性関節炎)という疾患と同様の病像が成人(16歳以上)におこったものです。
発熱、皮疹、関節症状を主な症状とする全身性の炎症疾患です。
発熱に伴い、全身の怠さ、疲れやすさ、食欲低下、体重減少などもみられます。
寛解と再燃を繰り返すこともあります。
膝付近にかゆみなどの症状に乏しい薄いピンク色(サーモンピンク)の皮疹が発熱とともに出現し、解熱とともに消退するのが特徴的です。
関節リウマチとは違って手指などの小さな関節よりも、手首、肘、肩、膝、足などの大きな関節を中心にみられます。
診断の決め手となる症状、検査所見には乏しいため、症状や所見から総合的に診断をします。
成人スチル病はリウマチ性疾患の中では稀な病気の1つであり、この病気を持つ方は人口10万人あたり2人程度です。一般的に20歳~40歳代の比較的若い成人が発症しますが、70歳以上でみられることもあります。男性より女性でやや多いとされています。
3. 線維筋痛症(炎症所見なし)
線維筋痛症は、一般的な検査をしても原因が見つからないにもかかわらず、長期にわたって、身体のあちこちの広い範囲に痛みが出没し、全身の強い痛みやこわばりとともに、激しい疲労感、睡眠障害、頭痛やうつ状態など様々な症状を伴いますが、病気の原因はまだよくわかっていません。中年以降の女性に好発します。
通常、さまざまな検査を行っても、特別な異常がみられないことから、わが国では線維筋痛症の診断が遅れることがしばしばです。
現在のところ線維筋痛症を完治させる治療法がなかなかないため、日常生活への影響が大きく、しばしば社会生活が著しく困難となることが大きな問題となります。
4. その他
- 乾癬性関節炎など
これらの病気は、症状も、「朝のこわばり」、「関節痛」など、リウマチと同じため、見過ごされているケースが非常に多く、来院される患者さんの大半は、リウマチとして治療されている方がほとんどです。
リウマチ以外の治療について
当院では、リウマチを専門としていますが、上記の病気や他の膠原病も診療しています。
リウマチ性多発筋痛症については、現在20名以上の方が通院されています。(成人スチル病は1名)
その内、リウマチ性多発筋痛症の症状・所見が改善したため、ステロイドを中止し、経過観察中の方が4名いらっしゃいます。
気になる方(リウマチ因子や抗CCP抗体がない方)は、お気軽にご相談ください。