間違いが非常に多いリウマトレックスの使い方

今回ご紹介するのは、当院に、紹介状を持って来院された患者さんの話です。

2年前、基幹病院のリウマチ科でリウマチと診断され、リウマトレックス4c/週で治療を受けていました。現在も、左手首の痛みは改善せず、手指の変形が進んでいることから、内科でかかっているドクターが「今の治療がうまくいっていないようなので、病院を変えて治療を変えてみてはどうですか」と、当院を紹介。
診察した結果について、その病院への紹介状の返事は以下のとおりです。

令和7年6月25日、ご紹介いただきました患者さんが来院されました。
主訴は、左手首の関節痛と両手指の変形でした。診察したところ、手指は老化に伴った変形性指関節症で、第一関節はヘバーデン結節、第二関節はブシャール結節が混在していました。職業がレジ打ちということで、指が変形しているために、利き手ではないほうの左手首に負担がかかり、痛みが出ているようでした。
関節リウマチについてですが、2年前リウマチと診断され治療が開始されています。検査データをみると、リウマチ因子、抗CCP抗体ともに強陽性でしたが、CRP 0.03、MMP-3 55.5と炎症は全くみられず、リウマチの活動性はなく、リウマトレックスの投与は必要ない状況でした。
ご存知のように、リウマトレックスはない日服用すれば抗ガン剤、週に1回服用すれば免疫抑制作用があります。そのため、感染症やがん発症のリスクが高くなります。聞いたところ、昨年直腸がんの手術を受けたということでしたので、リウマトレックスの服用が、全く影響なかったとは言えません。
持参された、リウマチに関するすべての検査データに炎症所見がありませんでしたので、リウマトレックスは服用を中止するよう指示しました。
リウマチがまだ発症していないところに、免疫抑制剤のリウマトレックスを使用していたことで、潜在しているリウマチに火がついて発症したケースが、何度かあります。そのようなときには、リウマトレックスを中止してみないと、リウマチが発症しているかどうかはわかりません。
そのため、リウマトレックスを中止して1か月後に血液検査をし、CRPとMMP-3が正常値であれば、リウマチの活動性はなく、治療は必要ありません。CRPとMMP-3がともに上昇していれば、リウマチの活動性があるので、アクテムラでの治療を導入しようと考えています。
このことは、患者さんに詳しく説明し、納得していただきました。

この患者さんのように、リウマチ因子があるだけで、炎症もないのに治療をされているケースが、非常に多くあります。
リウマチの治療は、免疫異常を治すことではありません。炎症を抑えることが、治療です炎症がなければ、治療は必要ないのです
詳しくは
【炎症がないにもかかわらず、リウマチ因子が陽性ということだけで、治療を受けている多くの人たちへ】
【間違いが非常に多いリウマトレックスの使い方】
をご覧ください。





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執筆者プロフィール

篠原 佳年(しのはら よしとし)

1950年生まれ、徳島県池田町出身。岡山大学医学部大学院卒業後、岡山大学部第三内科を経て、現在、医療法人わいわい・クリニック理事長、医学博士。
膠原病、主に関節リウマチを専門としている。一早く生物学的製剤アクテムラを導入し、全国から多くの方が来院。現在まで約700例の実績。

その他の改善症例につきましては、院長著書『リウマチが治った』『リウマチが治った②』『リウマチを止める――完全寛解の時代到来!!』をお読みください。
多数の方が、どのようにして改善したのかが詳しく書かれています。




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