今回ご紹介するのは、必要のない治療をしたためにリウマチが発症してしまったと思われる、70代女性のケースです。
受診前の経過
左膝と右手首に腫れが出現したため、整形外科を受診。そこでの血液検査の結果リウマチと診断され、リウマトレックス2c/週が開始となった。その後、リウマトレックスは徐々に増量された。
しかし症状は一向に改善しなかったため、リウマチ科のあるクリニックに転院。そこで、リウマトレックスの副作用の間質性肺炎が出現し、リウマトレックスは中止となり、プレドニン(2.5)/日、ケアラム2T/日での治療に変更となった。
その頃には、CRPとMMP-3の上昇がみられ、両手首の痛みの改善がないため、生物製剤アクテムラが追加となった。するとCRPは正常値となったが、自己注射が困難だということと、症状の改善がみられないため、リンヴォックに変更となった。
プレドニンを使うと体重が増える、骨粗鬆症になるなどネットにかかれていたため、心配と不安が重なり、自己判断で通院を中止した。
リウマチの治療について調べていたところ、当院ホームページを見つけた。そして自分に合っている治療や、自分自身の今の状態を知りたいと思い、東京方面から来院されました。
当院初診時の炎症の有無
持参された初診時の検査データをみると、
リウマチ因子(+)、抗CCP抗体(+)、CRP 0.82、MMP-3 23.4
リウマチの体質は持たれているようですが、活動性があるとは考えにくく、この時リウマチは発症していなかったのではないかと思われました。
手指のレントゲンを撮ってみると、第一関節のすき間はあるものの、その他の関節裂隙の狭小化や、両手首の変形がすでにみられました。おそらく、プレドニンの影響で、関節が変形してしまったと思われました。
診察すると、左膝には関節液が貯留しており、そのために歩行困難な状態でした。そこで、関節液を調べたところ、滲出液でリウマチによるものと考えられました。
自己判断で通院を中止していたせいか、血液検査をしたところ、CRP(1+)、MMP-3 431.5とリウマチの活動性が認められました。
そのため、以前の効果のあった生物製剤アクテムラでの治療を開始しました。
生物製剤アクテムラを2回施注し終え、血液検査をしたところ、CRPは0.05以下、MMP-3 159.5と明らかに活動性は激減し、体調も良く関節痛もほぼなくなってきています。
この患者さんの場合、リウマチと診断された時は、まだリウマチは発症していなかったと思われます。しかしその後、リウマトレックスやプレドニンなどを使用されたことにより、リウマチが発症したものと思われます。
手指や手首の変形、体調不良や精神不安もプレドニンが招いたものと思われます。
これまで何度もお伝えしていますが、リウマチ因子が陽性ということだけで、治療する必要はありません。
そして、リウマチの治療に初めからステロイドを使うということは、あってはならないのです。



