体調が悪いのに原因がわからなければ、まず貧血を疑う

「疲れやすい」「気候の変化についていけない」「元気が出ない」「冷える」などといった症状はありませんか?このような症状があれば『貧血』になっている可能性が大です。

ここでは、貧血について簡単にまとめてみましたので、参考にしてみてください。

まずはHb(ヘモグロビン)をみてきいきましょう。

検査項目 症状
Hb(ヘモグロビン) 女性:11.6以下 貧血
男性:13.7以下

主に、『鉄欠乏性貧血』『加齢による貧血』『腎性貧血』が考えられます。

金属の鉄は、酸素を運搬する唯一のミネラルです。
だからHb(ヘモグロビン)には、全身に酸素を運ぶという大切な役割があります。
Hbが正常値を切るということは、全身に酸素が十分にいきわたっていないということなのです。
このHbが「10」を切ると、立ちくらみ・めまい・息切れ・動悸が現れるので、治療が必要となります。さらに「6」を切ると、心臓にすごく負担がかかり生命の危機となるため、輸血が必要となります。

次にMCHC、MCVをみてみましょう。

検査項目 症状 対処法
MCHC 33以下 鉄欠乏性貧血 鉄剤投与
MCV 低値
MCV 90以上 加齢によるビタミンB群の不足 治療必要なし

30以下は極端な鉄欠乏。早急に治療が必要です。

さらに詳しく知るために、血清鉄、フェリチン、TIBCをみていきましょう。

検査項目 症状 対処法
血清鉄 60以下 鉄欠乏性貧血 鉄剤投与
フェリチン 10以下 鉄欠乏性貧血
(貯蔵鉄が全くなくなっている)
TIBC 上昇 鉄欠乏性貧血
(体が鉄を必要としている)

血清鉄が低値でもフェリチンが正常または高値の場合の貧血は、「炎症」による「鉄の利用障害」が起きているということになります。「炎症」を止める治療をすれば貧血は改善します。(当院では関節リウマチが専門なので、フェリチンが多いのに貧血が起きているケースが多くみられます)

参考

Hb(ヘモグロビン)※ 色素量
MCV 赤血球の大きさ
MCHC 赤血球の濃度
血清鉄 血清中の鉄量
フェリチン 貯蔵鉄、身体に蓄えられた鉄量
TIBC(鉄結合能) 鉄欠乏の指標

赤血球に含まれる「ヘム(鉄)」と「グロブリン(たんぱく)」の集合体。酸素と結合して全身に運ぶ役割(不足すると体が酸欠状態になる)

見逃してはいけない貧血

炎症による貧血(鉄の利用障害)

血清鉄が低値でもフェリチンが正常または高値の場合の貧血は、「炎症」による「鉄の利用障害」が起きているということになります。「炎症」を止める治療をすれば貧血は改善します。(当院では関節リウマチが専門なので、フェリチンが多いのに貧血が起きているケースが多くみられます)

かくれ貧血(潜在性鉄欠乏性貧血)

貧血と同様の症状があるのにHb血清鉄も正常値で、貧血ではないと言われたら、「フェリチン」を調べてください。もし50よりもはるかに低値なら、あなたは『潜在性鉄欠乏性貧血』でいわゆる『かくれ貧血』です。よく女性の「不定愁訴」で、どこの病院で診てもらっても「どこも悪くないですね」と言われることが多い病気です。この場合も、鉄剤の投与を行えば症状は改善します。

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鉄剤の内服ができない方へ

鉄剤が処方されても、胃の不快症状などで内服できない方が多くいらっしゃいます。
それは鉄欠乏性貧血の場合、胃の粘膜障害が起きていると考えられるからです。

鉄剤を経口摂取すると、鉄はタンパク質と結合し、ヘム鉄になり、胃の粘膜から吸収されます。しかし粘膜障害を起こしているために、吸収されにくく胃の不快症状が現れやすいので、内服が困難となります。

このような方には、鉄剤注射での治療をお勧めしています。

必要な鉄量は、貧血の程度から算出します。計算式の一つをご紹介します。

鉄必要総量=[2.2×(16-治療前Hb)+10]×体重(kg)

例えば、あなたのHbが9.2体重が50㎏だとすると、鉄必要総量は

[2.2×(16-9.2)+10]×50=1248㎎

となります。

当院での治療は、鉄剤フェジン注2アンプル/回(40㎎/アンプル)を2~3分かけてゆっくり静注します。特に緊急性がなければ、これを2~3回/週行っています。

鉄必要総量が「1248㎎」なので、当院の治療法に当てはめると、

1248㎎÷80㎎(フェジン2A(40㎎×2))=15.6 回

となります。
3回/週の静注を5週間続ければ、治療完了となります。

大きな病院に行って貧血がひどくても治療をしてもらえず、食事の改善だけを指導される方が多くいらっしゃるようです。
当院では、貧血の治療も行っております。
貧血や貧血の治療について詳しく知りたいという方、お気軽にご相談ください。

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