CRP上昇が招いた心筋梗塞 

知人からのSOS

<50代 男性>
1ヶ月ちょっと前から、顔面に皮膚炎と思われる硬結が出現。だんだん悪くなり、いくつかの皮膚科や内科にかかっても原因がわからず悪化してきたため、総合病院の皮膚科に紹介され入院。抗生剤の点滴治療を受けるも、さらに悪化してきて、顎の下まで硬結が拡がってきた。そのため口を開けることもできなくなり、食事も摂れなくなってきている。そのうえ検査データもひどく悪くなってきていることを担当医から聞き、不安となり私に連絡がありました。
まず血液検査のデータを送ってください、ともらったのがこちらです。
◆検査データ
このデータを見ていかがでしょうか。。
これから読み取れることは、
①炎症CRPが非常に高いです。CRPは27とみたことがないくらい非常に高いです。
②白血球が14900と高値です。その大半を好中球が占めています。LDHも279と上昇していますので、まずは細菌性の感染症が疑われます。
➂貧血がみられます。奇形赤血球・血小板大小不同ということですので、身体が造血を急いでいることがわかります。
④肝機能障害がおきています。これは1週間抗生剤を数種類投与されたことによる副作用でしょう。

私はこの検査データを見て、すでにひどい低アルブミン血症がおきているのではないかと考えました。CRPが発生すると、肝臓ではアルブミンの合成ができなくなります。アルブミン値が3.5g/dl以下になると、血管内の血漿浸透圧が保てなくなり、血管内の物質が血管外に出るため、浮腫が全身におこり始めます。そのため、このままでは数日以内に、うっ血性心不全がおこり、呼吸や循環の管理が必要な状態となり、大学病院のICUでなければ救命できないと、直感しました。そのため、大学病院に転院できるよう手配しました。

実際この5日後、やっと大学病院の内科に転院できることになりました。しかしその時には、心筋梗塞で心停止に近い状態だったため、ICUにすぐに搬送されました。そして、間一髪カテーテル治療で一命をとりとめた、ということでした。これは、うっ血性心不全が進行し急性心不全となり心筋梗塞を発症したと思われます。
その後、炎症を止める治療がうまくいき、3週間後退院となりました。知人は、2カ月で13kgも痩せ、今後は1カ月の後に、皮膚の修復のための移植手術があるとのことでした。

 





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執筆者プロフィール

篠原 佳年(しのはら よしとし)

1950年生まれ、徳島県池田町出身。岡山大学医学部大学院卒業後、岡山大学部第三内科を経て、現在、医療法人わいわい・クリニック理事長、医学博士。
膠原病、主に関節リウマチを専門としている。一早く生物学的製剤アクテムラを導入し、全国から多くの方が来院。現在まで約700例の実績。

その他の改善症例につきましては、院長著書『リウマチが治った』『リウマチが治った②』『リウマチを止める――完全寛解の時代到来!!』をお読みください。
多数の方が、どのようにして改善したのかが詳しく書かれています。



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