その後
以前送ってこられた血液検査のデータをみて、
1.鉄欠乏性貧血とその治療(鉄剤の投与)
2.低アルブミン血症(炎症を止める)
3.血糖コントロール不良
4.リウマチ性多発筋痛症の有無を指摘しました。
その後、まだ調子が良くないということで、総合病院に転院すると連絡があり、最新の検査データを送ってこられました。この間、貧血の治療とプレドニンの減量をされたようでした。
●Hb 9.8↓、フェリチン 841.7↑、血清鉄 257↑
●リウマチ因子(-)、抗CCP抗体(-)、抗G欠損IgG抗体(-)
●CRP 1.0↑、MMP-3 77.1↑
まず、鉄欠乏性貧血についてです。
フェリチンと血清鉄は高値です。以前はフェリチンが調べられていなかったので、鉄欠乏性貧血のため鉄剤の投与が必要だと思われました。しかし、今回の検査で貯蔵鉄は十分にあることがわかりましたので、鉄の利用障害による鉄欠乏性貧血だということがわかりました。そのため、鉄剤の投与は即刻中止し、鉄の利用障害の原因と思われる炎症を止めることが必要です。
リウマチ性多発筋痛症という診断は正しいのか疑わしい状況でしたが、リウマチ因子、抗CCP抗体、抗GAL欠損IgG抗体すべてマイナスですので、最初の診断のとおり、リウマチ性多発筋痛症であるようです。
そして、プレドニンを減量したと思われ、CRPとMMP-3が上昇していて、リウマチ性多発筋痛症の活動性が出てきたと思われます。この炎症がすべての原因で、貧血や低アルブミン血症が起きていると思われます。炎症がなくなるようにステロイドを増量すれば、貧血も低アルブミン血症も改善に向かうと思われます。
炎症がなくなれば、HbやALBは改善に向かうと考えます。プレドニンを増量することで、血糖のコントロールが難しくなります。これは、転院先の糖尿病の専門医によるインシュリンの治療が必要になってくると思われます。
そうすれば、現状は打破できるのではないか、と私は思っています。