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大病院で、いまどきこんな治療が…
ちょっと珍しい貧血のケース
(貧血について詳しく)
今回ご紹介するのは、リウマチ治療中の78歳の女性の方です。

これは、リウマチで治療中の患者さんの検査データです。こちらの検査データをみて、皆さんはどのように思われますか?
Hb(ヘモグロビン)8.4なので、ひどい貧血がみられます。ここでMCHC(※1)をみると低値ですので、極端な鉄欠乏が考えられます。それに加えMCV(※2)は正常値なので、高齢であるためビタミンB群の不足、つまり老人性の貧血も混合しています。またフェリチン(貯蔵鉄)をみると250と高値ですので、先ほど述べたMCHC低値による鉄の欠乏は否定されました。
次に、全身の炎症を表すCRPをみると(3+)、滑膜炎を表すMMP-3は250.1と上昇していますので、リウマチが起きているということになります。
つまり、リウマチに炎症により、全身状態、栄養状態が悪くなり、鉄の利用障害が起きているということです。
リウマチの治療を行えば、貧血はたちまち改善すると思われます。
※1 MCHC:赤血球1個当たりの平均ヘモグロビン濃度(平均値90)
※2 MCV :赤血球1個当たりの平均的な大きさ(平均33)
この患者さんについのお話をします。
患者さんは歯科で抜歯されました。
翌日、出血があるため歯科を受診しました。「あなたは抗凝固剤を服用しているので、血が止まりにくいですね」と言われ帰されました。
二日後には顔中が腫れました。再び歯科を受診すると「ばい菌が入ったのかもしれませんね」と言われました。この時抗生剤の処方もなく、治療も何もありませんでした。
三日後の夕方、患者さんはゴミ出しに行かれた後、意識がなくなり、翌朝ご近所の方に発見されるまで倒れていました。その後、県をまたいだ救急病院に搬送されました。
口腔外科で、抜歯後化膿していた箇所の切開治療を受け、抗生剤の点滴の後状態が安定したとのことで、県内のかかりつけの循環器科に転院されました。
循環器科に入院中、ベッドから少しでも動くと息切れや動悸があることを看護師に報告しましたが、何の処置もありませんでした。少し落ち着いたということで、何も説明がないまま退院となり、当院を受診されました。そして検査してみると、先ほどのような検査データでした。
前述した2つの病院では、化膿のこと以外、貧血について説明も治療もなかったということです。
しかし、この患者さんに関しては、見逃されたことが不幸中の幸いだったのです。
もし貧血治療すなわち鉄の補充をされていたら、ヘモクロマトーシスと医原病になりかねなかったのです。
この方はフェリチンが250と高値であり、貯蔵鉄は十分以上にあります。ただ、リウマチの炎症があることでアルブミンが下がり、鉄の利用ができない状態だったのです。そこに鉄を補充してもHbの数値は上昇しません。鉄の貯蓄過剰でヘモクロマトーシスとなり、生命の危機となるのです。
私は、Hb(ヘモグロビン)は生命力を表していると考えています。Hbga下がっているということは、生命に危険が起きているということを示しているのに、それを見逃すということはあってはならないのです。
貧血については、Hbや血清鉄だけでなく、フェリチンやTIBC(鉄結合能)などを調べる必要があります。それを知らない、興味のないドクターが多いということはとても嘆かわしいことです。
貧血そのものが多くのケースで全く見逃されていることを知っておいてほしいと思います。
もしあなたが貧血と言われたら、このレポートを読んでください。
何かあればお気軽にご相談ください。
Hb(ヘモグロビン)8.4なので、ひどい貧血がみられます。ここでMCHC(※1)をみると低値ですので、極端な鉄欠乏が考えられます。それに加えMCV(※2)は正常値なので、高齢であるためビタミンB群の不足、つまり老人性の貧血も混合しています。またフェリチン(貯蔵鉄)をみると250と高値ですので、先ほど述べたMCHC低値による鉄の欠乏は否定されました。
次に、全身の炎症を表すCRPをみると(3+)、滑膜炎を表すMMP-3は250.1と上昇していますので、リウマチが起きているということになります。
つまり、リウマチに炎症により、全身状態、栄養状態が悪くなり、鉄の利用障害が起きているということです。
リウマチの治療を行えば、貧血はたちまち改善すると思われます。
※1 MCHC:赤血球1個当たりの平均ヘモグロビン濃度(平均値90)
※2 MCV :赤血球1個当たりの平均的な大きさ(平均33)
この患者さんについのお話をします。
患者さんは歯科で抜歯されました。
翌日、出血があるため歯科を受診しました。「あなたは抗凝固剤を服用しているので、血が止まりにくいですね」と言われ帰されました。
二日後には顔中が腫れました。再び歯科を受診すると「ばい菌が入ったのかもしれませんね」と言われました。この時抗生剤の処方もなく、治療も何もありませんでした。
三日後の夕方、患者さんはゴミ出しに行かれた後、意識がなくなり、翌朝ご近所の方に発見されるまで倒れていました。その後、県をまたいだ救急病院に搬送されました。
口腔外科で、抜歯後化膿していた箇所の切開治療を受け、抗生剤の点滴の後状態が安定したとのことで、県内のかかりつけの循環器科に転院されました。
循環器科に入院中、ベッドから少しでも動くと息切れや動悸があることを看護師に報告しましたが、何の処置もありませんでした。少し落ち着いたということで、何も説明がないまま退院となり、当院を受診されました。そして検査してみると、先ほどのような検査データでした。
前述した2つの病院では、化膿のこと以外、貧血について説明も治療もなかったということです。
しかし、この患者さんに関しては、見逃されたことが不幸中の幸いだったのです。
もし貧血治療すなわち鉄の補充をされていたら、ヘモクロマトーシスと医原病になりかねなかったのです。
この方はフェリチンが250と高値であり、貯蔵鉄は十分以上にあります。ただ、リウマチの炎症があることでアルブミンが下がり、鉄の利用ができない状態だったのです。そこに鉄を補充してもHbの数値は上昇しません。鉄の貯蓄過剰でヘモクロマトーシスとなり、生命の危機となるのです。
私は、Hb(ヘモグロビン)は生命力を表していると考えています。Hbga下がっているということは、生命に危険が起きているということを示しているのに、それを見逃すということはあってはならないのです。
貧血については、Hbや血清鉄だけでなく、フェリチンやTIBC(鉄結合能)などを調べる必要があります。それを知らない、興味のないドクターが多いということはとても嘆かわしいことです。
貧血そのものが多くのケースで全く見逃されていることを知っておいてほしいと思います。
もしあなたが貧血と言われたら、このレポートを読んでください。
何かあればお気軽にご相談ください。

大病院で、いまどきこんな治療が…
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「外反母趾の痛み」をリウマチと誤診し、プレドニン10㎎を処方した大学病院のリウマチ専門医
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リウマチ性乾癬と診断された症例②
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リウマチ性乾癬と診断された症例①
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リウマチ因子や抗CCP抗体があるだけで治療をする必要はありません
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リウマチ因子が陽性。だからと言って治療する必要はない。
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リウマチ因子や抗CCP抗体が陽性でも、炎症所見がなければ治療の必要性はない
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またもリウマチ因子、抗CCP抗体が陽性なだけで、炎症反応もないのに抗リウマチ薬(リウマトレックス)が。副作用で白血球が低下し、リウマトレックスを中止してバイオ製剤を勧められたケース
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大学病院や総合病院で見落とされたMCTD
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リウマチ因子や抗CCP抗体が陽性なだけで、活動性が全くないのにプレドニン治療が続けられていたケース
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見過ごせない誤診
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ただの貧血なのにリウマチ科にかかったためにリウマチと誤診され、ステロイド投与。次には生物製剤導入も考えられた一例
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手指や膝の痛みは、「股関節の歪み」と「鉄欠乏性貧血」が原因
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原因不明の「貧血」と「炎症」・・・総合病院で輸血までされていた
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近くの整形外科が不適切な抗リウマチ薬を投与…その副作用にドクターも患者さんも気がつかず
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炎症もないのに手の指の変形が急速に進行
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抗GAL欠損IgG抗体は陽性だった
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炎症がなければ治療は必要ない
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ちょっと珍しい貧血のケース
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リウマチ因子陽性イコール治療ではない
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リウマチであっても治療の必要がないケース
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これでいいのかリウマチ医療
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繰り返しあらわれる関節痛…短周期型のリウマチ?
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長期間にわたるリウマチ治療も、今は活動性がないため治療の必要なし。
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4年前から発症していた?
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ちょっと寄り道… (貧血編)
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CRPマイナス、MMP-3正常、リウマチの活動性なし。治療の必要はありません。
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リウマチ因子は陽性、しかし炎症所見はなし。
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リウマチの体質があるだけ
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リウマチの体質があるだけでは治療の必要なし
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リウマチと誤診。その後発症…
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リウマチ因子陽性でも活動性ないなら治療は必要ない。
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発症していないのに、たくさんの抗リウマチ剤の投与で副作用出現
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抗GAL欠損IgG抗体の存在
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整形外科でリウマチなのに変形性膝関節症の治療をされていた
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Hb8.5。すぐに貧血の治療が必要
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Hb7.7、血清鉄15、フェリチン5未満。極度の貧血
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リウマチの活動性がないのにステロイドやリウマトレックスが出されていた!
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リウマチの活動性がなく発症していないのに、即断治療され、そのうえ滑膜切除術まで受け、仕事も日常生活も困難…
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祖母と曾祖母がリウマチ。自分もリウマチ因子、抗CCP抗体もあるがまだ発症していない。
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リウマチで受診されたが、違う病気が見つかった
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呼吸器の専門で入院して治療するも、原因菌が分からないままで、逆に体調を崩してしまった
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リウマチ因子、抗CCP抗体陽性。しかしCRP、MMP-3は正常値。
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リウマチの活動性がないのに治療されていた
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ヘバーデン結節とブシャール結節
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発症もしていないのに…薬で体調を崩して当院へ
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リウマチ因子、抗CCP抗体は陽性。しかし活動性はないので治療は必要ない
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効果のある治療を変更された
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リウマチ因子、抗CCP抗体ともに強陽性。「あなたは将来身体障害者になります」と言われた