その他の疾患

またもひどい「貧血」と「炎症」。今回は「IL-6」と「γ-グロブリン」が共に高値。だが抗核抗体がない。何の病気か。

今回ご紹介するのは、「貧血」と「炎症」の原因がわからず経過観察となっていた30代女性の方です。

≪受診前の経過≫
2021年9月、脈が飛ぶような違和感があったため、クリニックを受診。「貧血」と軽い不整脈と診断されるが、治療薬はなし。
11月、健康診断でCRPが13.68と高いため、総合病院を紹介してもらう。
12月、総合病院血液内科とリウマチ科を受診。血液検査の結果から、リウマチは否定された。
その後2022年4月まで、様々な検査(肝生検やCT、エコーなど)を受けたが、「貧血」と「炎症」の原因はわからず、体調は悪化していたが経過観察となった。
10月、突然回転性のめまいが出現したため、同クリニックを再受診。一年前から「貧血」と「CRP高値」が続いていることを相談すると、鉄剤の点滴が開始となった。
2回の鉄剤点滴も効果はなく、「貧血」と「炎症」の原因は何なのか不安に思い、インターネットで「貧血」と「炎症」を検索。すると当院ホームページが表示され、該当ページを読んだことがきっかけで受診となった。

≪当院初診時の所見(炎症の有無)≫
検査データからみると、極度の貧血(Hb低値)、CRP高値、γ-グロブリン高値、IL-6の上昇がみられました。しかし抗核抗体は陰性でした。
Hb 8.5とひどい貧血で、CRPは(6+)と炎症が激しく起きていました。しかし白血球は正常でしたので、感染症ではなさそうでした。
まとめると、
①γ-グロブリンが上昇しているので、免疫異常がある
②IL-6が高値
③フェリチン(貯蔵鉄)は正常ということは、この貧血は炎症があるために鉄の利用障害が起きているだけなので、鉄剤の点滴は不要である
ということがわかりました。
100%膠原病だと思っていたのですが、驚くことに抗核抗体やリウマチ因子、抗CCP抗体、その他様々な自己抗体は陰性でした。
ということは、炎症が最大のベースになっている疾患だと考えられました。
そこで、「IL-6が高値」になる疾患を調べたところ、”キャッスルマン病”に行きつきました。持参されていた腹部エコーの検査結果をみせてもらうと、リンパ節に多数の腫脹があるとのこと。
「IL-6高値」「リンパ節の腫脹」を合わせてみても、やはり”キャッスルマン病”だと確信しました。
そこで”キャッスルマン病”と確定診断するためには、リンパ節の生検が必要となるため、大学病院などの専門病院で診てもらうことを勧めました。

後日、専門病院を受診された患者さんから、「”キャッスルマン病”と診断され、治療が開始となった」と連絡がありました。





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