その他の疾患

ただの貧血なのにリウマチ科にかかったためにリウマチと誤診され、ステロイド投与。次には生物製剤導入も考えられた一例

今回ご紹介するのは、リウマチでもないのにステロイドを投与されていた40代女性の方です。

≪受診前の経過≫
2019年、背中から始まり全身(特に大腿部)に痛みと倦怠感が出現。
2020年3月、仕事中に右肩腱板を断裂し、整形外科で手術しました。
6月、再度右肩に痛みが出現。そこでプレドニン5㎎が処方されました。内服すると、全身の痛みも倦怠感も消失。
7月、リウマチの疑いもあるということで、総合病院の膠原病・リウマチ科を紹介されました。そこでMRIなどの検査をしましたが異常はなく、「あなたはプレドニン内服のために炎症所見がないのかもしれませんね」と言われ、プレドニンは1㎎ずつ減量となり、現在は1㎎を内服中。
その後、肩や背中、腰、下肢など様々な箇所に痛みが出現するようになると、主治医から生物製剤導入も勧められました。
血液検査をしても、何の病気かの説明もないままなので主治医に不信感を持ち、当院のホームべーじをみて受診されました。

≪当院初診時の所見(炎症の有無)≫
持参された検査データをみると、リウマチ因子も抗CCP抗体もなく、全身の炎症を表すCRPの上昇も一度もありませんでした。滑膜炎を表すMMP-3の上昇がみられましたが、これはプレドニン内服によるものだと思われました。
詳しく調べてみると、抗核抗体もマイナスのため、膠原病もリウマチも考えられませんでした。
ヘモグロビン10.9でしたが、血清鉄13、フェリチン(貯蔵鉄)は5以下とどちらも極端に低く、明らかな鉄欠乏が認められました。
どちらの病院でもこの貧血が見落とされていたのは、タンパクのアルブミンが多いためヘモグロビン値が意外と少ししか低下していなかったためでしょう。(ヘモグロビンはタンパクと鉄の集合体)
診察すると、両股関節は可動域が非常に狭くなっていて、そのために全身(腰、背中、肩、首など)に負担がかかり痛みが出現しているようでした。股関節の動きを改善するため、スクワットや多めのウォーキングを勧めました。
リウマチの可能性は全くなく、鉄欠乏性貧血がすべての症状の原因となっていることが判明したので、プレドニンは中止し、鉄剤の投与を開始しました。
2週間後来院された時には、「痛みは軽減して、身体が軽くなった」と言われました。
あと2~3ヶ月すれば貧血は改善し、すべての症状は消失するものと思われます。

このケースの3つのミス
①2つの病院のドクターが、病名もはっきりしていないのに、リスクの高いステロイドを継続して処方していたことが1つ目のミス
②紹介を受けたリウマチ専門医が、リウマチの諸因子(免疫異常)や炎症所見がないにもかかわらず、リウマチだと勝手に思い込んだことが第2のミス
➂どちらの病院でも貧血が起きていることを見逃したことが第3のミス

実際は
①ヘモグロビン値が正常値より軽度低下のみだったため見落とされた
②血清鉄やフェリチンを調べると、明らかな鉄欠乏が認められた
➂鉄欠乏性貧血のため、筋肉や関節に十分な酸素が送れなくなり、血流不足(冷え)のために痛みが出現した(東洋医学では、痛みは冷えの症状と言われている)
④関節の可動域が狭いために、全身の筋肉や関節に余分な負担をかけ、貧血と相まって耐え難い痛みとして出現した

現実は
★貧血が軽視されているだけでなく、貧血が見抜けないドクターが多いのが現実
★痛みが”冷え”から来ていること(東洋医学)を西洋医は知らないことが現実
★身体の歪みが、わけのわからない痛みや病気を引き起こすことがほとんど知られていないことが現実
「股関節のお話」を参考にしてください





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当院のリウマチ治療 リウマチSOS



その他の改善症例につきましては、院長著書『リウマチが治った』『リウマチが治った②』『リウマチを止める――完全寛解の時代到来!!』をお読みください。
多数の方が、どのようにして改善したのかが詳しく書かれています。

書籍について

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