その他の疾患

輸血が必要なくらい極度の貧血。精査するも原因はわからず、治療されないまま。ネットで調べ当院受診。

今回ご紹介するのは、貧血が見つかったのに、治療されないままで体調が悪くなったという50代男性の方です。

≪受診前の経過≫
2007年、両手指に痛みが出現したため、総合病院リウマチ科を受診。リウマチ因子(-)だったが、CRPが上昇しているためかリウマチと診断され、リウマトレックスが処方された。
2008年以降は調子も良かったため、リウマトレックスは徐々に減量、2018年には中止となった。
2021年10月、右肩と左手首に痛みが出現したため、リウマチ専門医を受診。リウマトレックスが再開となった。
11月、胸痛と息切れが出現。貧血と言われ、翌年1月総合病院にて精査するも、原因は見つからなかった。
5月、再び胸痛と息切れが出現。近医を受診すると鉄剤が処方された。
胸痛の原因は何か、リウマチと貧血のかかわりを知りたく、ご家族が「貧血」「リウマチ」というキーワードで検索し、当院受診となった。

≪当院初診時の所見(炎症の有無)≫
持参された検査データをみると、リウマチ因子、抗CCP抗体はともに(-)でした。リウマチの体質もないのに、必要のない治療を長期にわたりされていたということです。
リウマチについて改めて検査してみると、抗GAL欠損IgG抗体も(-)。リウマチは全くなく、貧血にもかかわっていないということが判明しました。
Hbが6.9と非常に低値で輸血が必要なくらいの貧血でした。貧血のために体中が酸欠状態になり、頻脈(脈拍数105)となり、息切れや筋肉痛などが起こるので、治療をすれば胸痛も改善するのではないかと考え、鉄の注射を行いました。2回注射した数日後、体調も以前よりはよくなったという報告を受けました。
患者さんの鉄欠乏量が非常に多いので、近医で週2回ほどの鉄の注射をしてもらうように指示しました。

総合病院やリウマチ専門医が、リウマチは全くないのに必要のない治療をしていたこと、貧血が明確なのに精査はしても治療をしないことなど、本当に驚くことばかりです。





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書籍について

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