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リウマチで治療中の患者さん。自宅で倒れ、意識なく救急搬送に。なんと原因は不明?

当院にてリウマチ治療中の患者さん。
食後しばらくして、倒れているところをご家族が見つけ、救急車で運ばれたと連絡がありました。
その連絡を受け、脳の血管障害や心筋梗塞ではないかと考えられ、しばらく入院されると思っていました。しかし、その翌日には来院されました。
話しによると、発見時は意識がなかったものの、搬送時には多少意識が戻ったとのことでした。病院で頭部CTやレントゲンなど検査をしたところ、脳出血や脳梗塞など異常は見つからず、原因不明のまま、点滴した後帰宅となったようです。
原因がわからないまま帰宅となることはないと思われましたが、ご家族の話によると、これまでにも同じようなことが何度もあり、そのたびに同じ病院に運ばれていたそうです。毎回原因はわからないままだったようです。
持参された検査データをみると、白血球、CRP、LDHすべて正常値でしたので、感染症はないようです。特に問題はないようでしたが、カリウムだけが2.7と低値でした。
動脈血のガス分析があれば、呼吸状態と酸塩基平衡がわかります。しかしこの方のデータには、静脈血のガス分析しかなく、酸塩基平衡しかみられませんので、そこから推察すると、
 
●静脈血ガス分析 pH:7.386、PCO2:47.5、PO2:56.2、HCO3:27.9、BE:2.8

pHは7.386なので、ほぼ正常ですがやや酸性に傾いています。
BEは2.8ですので、代謝性アルカローシスが起きているようでした。
なぜ、代謝性アルカローシスが起きているのかを考えてみました。カリウムが2.7と下がっていることを考えると、代償的に腎臓からカリウムを放出し、代謝性アルカローシスを起こしたようでした。それは、呼吸不全がベースにあり、呼吸性のアシドーシスを起こしていたために、pHがやや酸性に傾いていたことが推察されました。
長男さんと患者さんに聞いたところ、のどの詰まりなどはなく、詰まったものもまだ一度も見つかっていないということでした。だとすれば、食事をした後に眠たくなって、前かがみ(座ったまま眠ってしまったような状態)になったことで、舌根沈下し気道が圧迫・閉塞されたため、脳が酸欠状態になったように思われます。そして意識が消失し、倒れてしまったのではないかと思われました。
本来ならば、息苦しくなれば気が付くはずですが、眠気と高齢のため反射が鈍くなり、気付くことなく意識消失して倒れてしまったのだと推察されました。
救急車で搬送される時には、意識は少し回復し、点滴の途中には完全に戻ったということでしたので、姿勢が変わることによって、気道が確保されて、意識が回復されたものと思われました。
そこでご家族には、食後30分の間は目を離さず注意し、本人には、食後しばらくは動くことをアドバイスしました。





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当院のリウマチ治療 リウマチSOS

執筆者プロフィール

篠原 佳年(しのはら よしとし)

1950年生まれ、徳島県池田町出身。岡山大学医学部大学院卒業後、岡山大学部第三内科を経て、現在、医療法人わいわい・クリニック理事長、医学博士。
膠原病、主に関節リウマチを専門としている。一早く生物学的製剤アクテムラを導入し、全国から多くの方が来院。現在まで約700例の実績。

その他の改善症例につきましては、院長著書『リウマチが治った』『リウマチが治った②』『リウマチを止める――完全寛解の時代到来!!』をお読みください。
多数の方が、どのようにして改善したのかが詳しく書かれています。




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