
執筆者プロフィール
篠原 佳年(しのはら よしとし)
1950年生まれ、徳島県池田町出身。岡山大学医学部大学院卒業後、岡山大学部第三内科を経て、現在、医療法人わいわい・クリニック理事長、医学博士。
膠原病、主に関節リウマチを専門としている。一早く生物学的製剤アクテムラを導入し、全国から多くの方が来院。現在まで約700例の実績。
リウマチ治療がうまくいっていない(炎症あり)
今回ご紹介するのは、治療変更するにあたり検査したところ、間質性肺炎が見つかった60代男性のケースです。
≪受診前の経過≫
2007年頃、両手首痛が出現したため、近医整形外科を受診。血液検査の結果リウマチと診断され、総合病院を紹介される。
総合病院の日帰り入院検査でもリウマチと診断され、サラゾピリン1T/日が開始となったが、効果がないため、リウマトレックス4c/週に変更となった。
2009年、CRPが上昇したためか「効果のある治療に変えてみましょう」と言われ、2カ月に1回のレミケード点滴が開始となり、現在も継続中。リウマトレックスは現在3c/週。
2025年2月、ゴルフに行った終日後から、右手首痛が増強したことを主治医に相談。レントゲンを撮り「すき間が狭くなっているため、手術しかない」と言われた。
レミケード点滴後も痛みはとれず、手術は絶対にしたくないと思い、同僚に勧められ、当院を受診することになった。
≪当院初診時の炎症の有無≫
・リウマチ因子(+)、CRP 1.76、MMP-3 92.5、Hb 14.8 ※抗CCP抗体は調べていない
持参された検査データを見たところ、リウマチの治療の十分な効果が得られていないようでした。
患者さんは手首の痛みを訴えられたので、レントゲンを撮ってみると、両手首の関節は変形が著明で、そのために痛みが出ているようでした。
レミケードの治療の効果は不十分のため、効果の期待できる生物製剤アクテムラでの治療に変更することを勧めました。患者さんの同意の元、開始することとしました。
しかし血液検査で、間質性肺炎を表す指標のKL-6が、3542と見たこともないくらいの異常高値を示していました。そこで胸部レントゲンも詳しくチェックしたところ、両下肺野に粒状陰影が多くみられました。これは間質性肺炎だと診断しました。確認のため、肺のCTの読影を総合病院に依頼しました。結果は「間質性肺炎の急性憎悪像」でした。
CT上広範囲にかけての間質性肺炎が起きているとのことでしたが、不思議なことに患者さんは空咳など呼吸器症状は一切ありませんでした。
間質性肺炎の治療をリウマチよりも優先し、アクテムラの治療は止めて、プレドニンを投与することを決めました。プレドニンを使用するため、リウマチの痛みも消失すると考えています。
このケースの問題点は、副作用に間質性肺炎があるリウマトレックスやレミケードで治療をしているにもかかわらず、一度もKL-6を調べていなかったことです。(データを見る限り)
リスクの多い薬は、その副作用を熟知し、良くチェックをしないといけない。もしそのようなことができないのであれば、その薬を使うべきではない、と私は思っています。
執筆者プロフィール
篠原 佳年(しのはら よしとし)
1950年生まれ、徳島県池田町出身。岡山大学医学部大学院卒業後、岡山大学部第三内科を経て、現在、医療法人わいわい・クリニック理事長、医学博士。
膠原病、主に関節リウマチを専門としている。一早く生物学的製剤アクテムラを導入し、全国から多くの方が来院。現在まで約700例の実績。
その他の改善症例につきましては、院長著書『リウマチが治った』『リウマチが治った②』『リウマチを止める――完全寛解の時代到来!!』をお読みください。
多数の方が、どのようにして改善したのかが詳しく書かれています。
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